新世代の包丁について

2014/11/2 包丁について

包丁製作に使用される素材といえば鋼かステンレス、あるいはその両方を使用した割り込み、というのが一昔前までの常識でした。
しかし、近年包丁製作は急速に研究が進み、新たな素材を使用して作られたまったく新しい性質の包丁が次々に生み出されています。

今回は、新素材を使って製作される包丁について解説します。

最近、一般向けの包丁として浸透しつつあるのが、セラミックを使用して作られた包丁です。

デパートなどの販売店でもよく見かけるようになってきたこの包丁。そもそもセラミックとはなんなのでしょうか？

無機物を熱し固めた素材のことで、軽くて硬度があり変質しにくいという特徴を持っています。
ほかにもセラミックにはいろいろな性質がありますが

包丁において最大の利点というのはなんといっても、従来の包丁では避けられなかった錆びの問題を完全に解決してしまったという点です。
金属を使用して製作される刃物は常に錆びとの戦いですが、セラミックはそもそも錆びとは無縁のものですので、使用後のケアもそんなに気にする必要がありません。
変質しにくく錆びる心配もないので、セラミックの包丁は耐久性や手入れの便利さという点では金属製の包丁を上回っています。
特に切れ味にこだわらないあまり料理をしない人などには、扱いやすくて管理も簡単で喜ばれる素材です。
金属ではないため様々な加工ができるのも特徴のひとつです。刃に色をつけたり、イラストを印刷するのもセラミックであれば簡単にできてしまいます。

逆に欠点という部分では、金属製の包丁に比べると切れ味が劣ることです。

最近は開発が進んでその問題も改善されつつありますが、まだまだ金属に比べれば基本的な切れ味は一歩劣ってしまいます。
その他、素材の性質上仕方のないことですが通常の刃物と同様に砥石で研ぐことが難しいので、専用のシャープナーが必要になるという点も欠点といえると思います。

ちなみに金属で新素材で最近注目されているのは、軽くて丈夫、高い切れ味もよくさびにくい、チタン製の包丁です。
チタンはレアメタルとして有名で色々な分野で高度な製品にも使用されている硬い金属ですが、鋼やステンレスに比べて軽量という特徴があります。
耐久性も高いので、長く使っても切れ味が落ちにくいのがメリットです。

 
素材特性として他の物質の影響を受けにくいため、切った素材の匂いが付きにくいのも大きなメリットです。

こまめな手入れもいらず、調理がはかどります。
デメリットは、耐久性の高さによる研ぎにくさです。

素材自体が硬いため、通常の包丁と同様に研いでも刃を研ぎ出せず、砥石を痛めてしまいます。切れ味が落ちてきたら、プロによる専門の研ぎを依頼する必要があります。
昔ながらの素材を使って作られた包丁には伝統に裏打ちされた高い品質がありますが、最新の研究結果によって生み出された新素材の包丁にも優れた点が存在します。
中には既存の包丁の問題点を解決した画期的な包丁もありますから、包丁を選ぶときは新素材の包丁も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

kajiya